アカシックレコードとは? -世界の全てを記憶する図書館-

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はじめに

もしも、宇宙の始まりからすべてが記録されている図書館があったら?

その考えは面白いけど、底抜けに胡散臭いな。
といった感想ですが、想像力を羽ばたかせるにはとてもよい題材です。まあ本気で信じている人もいるだろうし、絶対に間違っているとも言えないからこそ興味がそそられるのかなぁと。とにもかくにも、少し調べてみました。

アカシックレコードとは?

世界の始まりからすべての事象、想念、感情が記憶されているもの。
というやつです。この場合の世界とは宇宙スケールのお話で、すべての始まりから今日までの情報が記録されているようです。場合によっては未来の情報まで記録されているとか。そうなると占いやら予言のソースとして使われることは想像に難くないでしょう。

アカシックレコードのアカシックとはインド哲学の”アーカーシャ”という言葉からきています。これの意味は”虚空”、”空間”、”天空”を意味しており、物質の根源として扱われる”火水地風”などと同列に扱われる概念です。この5つをまとめて5大と呼ばれていますが、西洋で”アーカーシャ”は”エーテル”と同一視されていたとのこと。レコードは音声記録を行う媒体ですね。また、アカシックレコードは”アカシャ年代記”ともよばれています。

ではアカシックレコードはインド発祥のものなのか? と言えばそうじゃないのですわ。
近代神智学という眉唾ものの学問があるのですが(信じている人いたらごめんね)そこで”アーカーシャ”は生命力という認識がされており、「透視能力がある人だけが近づくことができる、宇宙の超感覚的な歴史」という概念の呼称するときに使われたのがアカシックレコードというわけです。近代神智学はヨーロッパ発祥なので、体よくインドの”アーカーシャ”を引っ張ってきて利用したのでしょう。

仮にアカシックレコードが存在したとすれば、このとんでもなく便利なサーバーにアクセスして有益な情報を閲覧することで人生をぞんぶんに謳歌できることでしょう。

アカシックレコードはどこにあるの?

プトレマイオスの天動説に基づく天球図
Jan van Loon – http://nla.gov.au/nla.map-nk10241,
パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=473852による

じゃあ、それどこにあるんだよ。という話になる。だってこんな便利なものがあるんだったら、みんな使いたいと考えるのが当然のこと。
近代神智学の偉い人やオカルティストに言わせれば「世界の果てに不思議な境界線があり、そこに全宇宙の記録が時系列順に配置されている」ということらしい。それは解読できない言語のようなもので書かれているんだってさ。んー、選ばれた人物とか鍛錬した人物しかアクセスできないようなので、一般人には読めないらしい。記録媒体は先述のアーカーシャ、もしくは”アストラル光”(宇宙に蔓延する魔術的な媒体)であるとされています。

つまりアカシックレコードは正確な所在不明で、そもそも人間が特定できるような場所にない。記録媒体も正式に実在が証明されていないもの。さらにアカシックレコードは”読む”というよりは超感覚的に”感じる”ものであるということ。ほら、胡散臭くなってきたでしょ?

まあ、こういった類は存在しないことの証明が困難(悪魔の証明)であるからこそ、科学が幅を利かせている現在でも生き残っているのだろうし、だからこそ魅力的なんでしょうね。

集合的無意識と同一視されている?

心理学者にユングという有名人がいます。その人が”集合的無意識”という概念をつくったのですが、アカシックレコードはしばしばこれと同一視されているようです。

集合的無意識とは、物理的に繋がりのない人々が同じような考えを共有しているという考え方。たとえば、人類が稲作を始めた時期というのは歴史的な視点から見ると非常に近い年代に同時に行われたとされています。これは集合的無意識によるもので、人々は無意識に共通する情報源を参照して行動していたのではないかというものです。多くの神話などに共通点があるのも、この集合的無意識により人々が同じようなイメージを持っていたからだとする考え方ですね。また、シンクロニシティという考え方もあり、いわゆる”虫の知らせ”という物理的な接点がないにも関わらず、とある出来事を知覚することができるのは根本として集合的無意識から情報を取得しているからだと言われています。

ここまで書いていると、まあアカシックレコードが集合的無意識と同一視されても違和感はないかなと思います。万能な情報源からたまたま無意識に情報を受け取っているというところは似ていますよね。ただ、個人的な意見を述べれば同じような環境で同じような生活をしていれば同じような発見をするだろうし、同じような考え方をすると思うんですよね。虫の知らせについては、人間の記憶の不確かなところも考慮するべきで、人は割と簡単に記憶の改ざんを行います(特定の病気でなくても)。とまあ、そんな感じで私的には両手あげて賛成するようなことではないかなといった感想です。

好意的に解釈してみる

ここからは私の妄想みたいなもんなんで、信憑性ゼロです。
仮にアカシックレコードのような情報を記憶する領域があるとすればどこにあるのかなという考察です。多分、皆さん知っていると思いますが、宇宙にはブラックホールというものがあります。この天体は重力無限大でなんでも吸い込んでしまう(なんと光すら)奴なんですが、では吸い込まれた物質の情報はどうなってしまうのでしょうか? というのも、この世界から物質の情報が完全に消失してしまうというのは、物理学的にありえないとされてきたのです。こいつを「ブラックホール情報パラドックス」と言います。

この問題が提起されたのは、かの有名な”車いすの物理学者”ホーキングさんがブラックホール放射を発表したことに端を発します。ホーキングさんは「情報は消失する」と言いましたが、ソーンさんという方が「そんなわけねえだろ」と反対しました。この時、二人は賭けをしたそうなんですが、そういうのユーモアがあっていいですよね。で、その問題の解決案として”ホログラフィック原理”というものが提唱されました。簡単に説明すると「ブラックホールに物質が吸い込まれるとブラックホールは大きくなり、その増えた表面積に物質の情報が記憶される」という感じです。
この考え、ブラックホールの中(事象の地平面の内側)に吸い込まれた物質の情報は、その表面に保存されてるんだよーというものを宇宙全体に当てはめてみるとどうでしょう。巨視的な考え方では、宇宙の中にある情報は宇宙の表面積のところに保存されている、と考えられるのでは? つまり、この宇宙の表面部分がアカシックレコードとも受け取れるのです。
私たちが生きている空間は、宇宙の外側から照射された光が表面に蓄えられた情報によってできた影(ホログラム)でしかないのである。という考えを受け入れた場合、まあそう考えられるかなといった話なのですが、じゃあ人間がどうやってそれにアクセスするのかは謎ですよね。それこそ瞑想やらなんやらでチャネルを開いて神秘的な読み込みを行うのかなぁ。やっぱ胡散臭えな。

おわりに

この手の概念は考えるのは楽しいですね。ただ、生活の役に立ちませんね。
こいつを生活に取り入れたり、あまつさえ商売しようものなら「ちょっとあぶねえ奴」なわけで、私的には斜に構えてにやにや考察している程度が一番楽しめると思います。でも、実際にあったらおもしろそうだなーという好奇心は大切にしたいと思いました。

では、機会があったらまた。

アカシックレコード – Wikipedia

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